「さぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい〜」 真夏の日差しが容赦なく照りつける中、ブラックスミスが汗だくになって客寄せを行っている。 ここは多くの商人が集まるプロンテラ中央広場だが、今日に限っては商人の開く露店は一切開かれていなかった。 涼しげな噴水の前にはこのブラックスミスの出している大きなテントとたくさんの屋台があるだけだった。 勿論この屋台は彼が出店させているものである。今日は暑いので特に冷たい飲み物の屋台に多く人が集まっている。 テントの前に立ててある看板には無愛想な字で「囚人XXX 公開処刑会場」と書かれている。 普段モンスターを狩っていて血には慣れている冒険者達もなかなか人間の血は見れないこともあってそのテントの周りには多くの人だかりができていた。 勿論冒険とは縁の無い一般市民も公開処刑という一大イベントを見逃すはずもなくこれまた大勢集まっていた。 この黒山の人だかりの異様な熱気の中でテントの入り口に立つ衛兵達だけが汗一つ流さずに立っている。 重罪人にのみ行われる公開処刑はそれだけで大きな集客力を持っている。 それに注目したルーンミッドガルツ王国が処刑のプロデュース権を商人達に買わせるということを行っている。 プロデュース権を落札した商人は処刑日に限ってプロンテラ中央広場を独占する権利も認められるため、この権利は非常な高値で落札される。 また処刑方法も彼らに一任されているため、もの珍しい処刑をすると評判になればそれによって上がる売り上げは計り知れない。 それゆえ回数を重ねる程に処刑の方法もどんどんエスカレートしていき、教会などは渋い顔をしている。 今回処刑される囚人XXXは意識を離脱させ無限に狩りを行うという禁術、いわゆる"BOT"と呼ばれる行為を摘発されたために処刑されるに至った。 勿論意識は前もって戻されているため処刑されるという苦痛は味わうことになる。 ここ最近この「BOT」使用者がうなぎ登りに増えて政府も取り締まる必要性を感じたのか、教会側を黙らせて処刑方法を落札したブラックスミスに 一任させるということを行っている。 それをこのブラックスミスが見逃すはずもなくこの処刑は大々的に宣伝されたため、会場は普段の処刑よりも大賑わいとなっていた。 太陽が真上に上がった頃、テントの前に居た衛兵が処刑開始合図ラッパを鳴らす。 その音を聞いて人々は一斉にテントの方に視線を向ける。 観客の注目の集まる中、ブラックスミスは部下に指示を出してテントへと送った。 しばらくすると衛兵に付き添われたやつれ顔の女騎士と、柴のようなものの束を持ち緊張した面持ちの部下がテントから出てきた。 騎士はこれから処刑されるという厳然たる現実を前に呆然としているのみだった。衛兵が居なかったら立っていることもできなかっただろう。 一方ブラックスミスは部下の持ってきた束を確認すると慎重にそれを地面に置き、テントの中へと入っていった。 ブラックスミスはテントから大掛かりな衣装掛けのようなものを持ち出してきた。 ただしハンガーの代わりに真ん中に縄が吊るされている。また足元にも縄が付けられている。 ブラックスミスがその縄を取って騎士の手足に縛り付ける。その間騎士は屈強な衛兵に体を支えられているため抵抗一つしなかった。 縄がすべて付けられると騎士は丁度星型に衣装掛けに広げられた格好となった。 「さて皆様、本日はこのような暑い中わざわざ集まって下さって誠にありがとうございます。 ではこれより、"BOT"という神をも恐れぬ行為を行ったXXXの処刑を不肖私めが行わせていただきます。 ですが皆様に一つだけ注意して欲しいことがあります。実は本日の処刑には"古木の枝"を使わせていただきますので、 モンスターが誤ってそちらに行ってしまうという事態が想定されますため、なるべく腕に自信のある方以外は前の方来られないようお願いします。 勿論当方でも万が一のことがあってはならないように屈強の処理班と熟練の医療班を用意しておりますが、何しろモンスターが相手ですので、 不測の事態が起こるということは充分に考えられます。ですので、申し訳ありませんが、腕に自信の無い方は前の方に来られないようお願いします。」 この説明を聞いて何人かの市民が数歩ほど後退したが、多くの観客は眼前で見ることを望んでいたため自分のいる場所に留まった。 説明を終えたブラックスミスは地面に置いてあった束から一本を取り出すと、それを観客に向けて振りかざした。 「ちなみにこの古木の枝は、このXXXが"BOT"行為を行って不当に集めたものです、これがホントの"自業自得"というヤツですね。」 観客達から笑いが漏れる。誰一人としてこの囚人に同情している者は居ないようだった。 「では早速処刑を始めさせていただきますが、ここで一つアンケートを取りたいと思います。 この古木の枝で呼び出したモンスターにこの囚人を嬲り殺させると思ったかたは手を挙げて下さいっ!」 観客達の大半の手が挙がった。普通に考えれば古木の枝を使うならば召還したモンスターに処刑をさせるというのを第一に思いつくのだろう。 「はい、はい。ありがとうございます。やっぱりそう考える人は多いですねぇ〜。 ではその皆様の予想を覆す一大見世物をご覧下さいませ!」 そう言うとブラックスミスは騎士の服に枝をさし入れ、おもむろにそれを叩き折った。 「きゃっ!」 騎士の口から黄色い悲鳴が上がる。騎士の腹が異様に膨れ上がったが、騎士は服がきつくなったことに対する表情の変化以外見せなかった。 「この膨らみは・・・。ポリンみたいですねぇ。まぁ最初はこんなモンですよ。」 と言うとブラックスミスは服の上からポリンを叩き潰した。観客も興をそがれたような顔をしている。 が、しばらくすると観客の目が興奮しだした。潰されたポリンの体液が騎士の服を濡らして服が張り付いて非常に艶めかしい様子になっていた。 「はいはいー。あんまり見てると奥さんに叱られますよ皆さん!」 この言葉に会場は再び笑いに包まれた。 「では早速次行ってみましょうか〜。今度はちょっと趣向を変えますよ〜。」 というとブラックスミスは無防備に開かれた股間に枝を一本差し込んだ。 「これからが本番ですので、皆様よ〜く御覧になって下さい!」 ブラックスミスが騎士の下腹部を思い切り叩き据える。 「きゃぁぁぁぁぁ!」 騎士の口から今度は本物の悲鳴が上がった。 スカートの下からでは良く分からないが、何やら騎士の体内に何かが発生したことは明らかだった。 「あっ!」 最初は気持ち悪そうに悲鳴を上げていた騎士の顔が段々紅潮していく。 股間からは陽光が反射して輝く汁が垂れていた。 「あぁん・・・。」 「あちゃ〜。この人公衆の面前で感じてますよ。どうやら今度も大した物は出なかったみたいですねぇ。 ホント、逝く前にイってどうするんでしょうかぁ〜。」 このブラックスミスのあまり面白くないジョークも興奮した観客には最高に気の利いたものに聞こえるのか、また笑い声が会場に響き渡った。 「あっあっあっ・・・。」 そのような観客達の様子が耳に入っていないかのように騎士は股間の感覚に夢中だった。 「見てる分にはこれで充分にいいんですが、やっぱり仕事をしないと当局に叱られますんで、早速次に行きますよ〜。」 というと今度は束になった枝を鷲づかみにするとまとめて数本を騎士の口に入れる。 「あふっ!」 股間の快楽に夢中になっていた彼女は突然口に枝を押し込まれたからか一瞬むせた。 「噛み切らないで下さいよ〜。一応全部古木の枝なんで一本でも折ると何が出るか分からないですからね〜。」 口に枝を押し込んだ後は股間に手をやり、中で蠢いていたものを引きずり出した。 「うわっ!ベトベトだこりゃ。」 中から出てきたのは液体まみれのファブルだった。 「コレくらい濡れてると入れやすいですねぇ・・・。」 再び鷲づかみにした枝を前後に差し込む。 「ではでは、これ以上焦らしても仕方ありませんので、全部まとめてやっちゃいますね〜。 カートレボリューション!!」 「ふごぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!」 ブラックスミスの技が全ての枝を叩き折った。 何本もの枝が一瞬にして叩き折られたため、複数のモンスターが狭いところに無理矢理出現してしまっていた。 口からは何本もの歯が飛び出し、顎が外れてしまいだらしなく舌が口の外に垂れ下がっていた。 大きく開かれた口からは大量の血とどうやら盗蟲らしき黒い物体が蠢いていた。 股間からは赤い巨大な糞のようにアルギオペが垂れ下がっていた。地面には細かい肉片と大量の血が広がっている。 そして出現したモンスターは騎士の体についたもの以外は全て手際よく処理班が処理して行った。 なぜか小型のモンスターばかりだったために派手な戦いは起こらずにすぐにモンスターたちは殺された。 あまりの衝撃のためか騎士は一瞬を全身を痙攣させたがすぐに、気絶してしまったのか動かなくなっていた。 しばらくこの様子を見ていたブラックスミスは首元に手をやって脈を確認する。 「うーん今回は難産のようでしたねぇ〜。ですがまだ死んではいないようです。 では寝てもらってもつまらないので起こしましょう。」 と言うとブラックスミスは鼻の穴に一本ずつ枝を差し込んだ。 「ではいきます。ハンマーフォール!!」 「ブハァブ!!」 ブラックスミスが技を叩き込んだ瞬間に鼻が吹き飛んだように観客には見えた。事実今度は肉片が観客の方にまで飛んでいくということが起こった。 騎士の端整な顔は顎が外れそして鼻が吹き飛んだことによりとても見れたものではなくなっていた。 今度呼び出されたモンスターはオークとガラパゴだった。 両方とも鼻の穴に比べると相当大きいのでものすごい勢いで出てきてしまい。オークなどは兜の角が石床にめり込んでいた。 ガラパゴは何が起こったのか分かってはいないようだったが、とりあえず手に持っていた飲み物を飲んで満足げにしているようだった。 そのガラパゴも含めてモンスター達は実に手際よく処理班が始末していった。 「ア゙ア゙ア゙・・・・。」 騎士は目が覚めたみたいだが余りの出来事に呆然自失になっているようだった。 「おー、あの姉ちゃんまだ生きてやがるぜ。」 「しぶといなぁ。」 観客達は無責任にこの騎士の生きていることに関心しているようだった。 「さてさて、残りの枝が一本になってしまいました。 このまま放っておいてもじきにくたばるとは思いますが、今日中に仕上げないと後でこっぴどく叱られますので、この次を最後にしたいと思いますハイ。」 と言うとブラックスミスは最後に残った枝を握り締めた。 「よし、その女の顔をしっかり押さえとけ、後右目を開け放っしにしろ。」 彼の指示に二人の部下が従う。 ブラックスミスは枝を握り締めたまま、無理矢理開かされた目に向けて枝をどんどん近づける。 それから逃れようと騎士は必死で動こうとするががっちりと屈強の男二人に固定されているため微動だにできない。 「ダ・・・ベ・・・デ・・・。」 顎が開ききっているため舌足らずな声で必死に騎士は懇願する。 だが観客の方は興奮しきって、 「やれー!」 「もうすぐだ!一思いにやっちまえ!」 などと声援を送る。 ブラックスミスが一瞬腕を下げ、そして一気に目に枝を突き立てた。 「パギャァァァァァッァァァァァ!!」 あまりの痛みに騎士の体が仰け反る。そしてブラックスミスが手から枝を完全に離していなかったためにその拍子に折れてしまった。 「アフィアフィフィフィ・・・・。」 声にならない声が辺りに漏れる。枝から出てきたのは細長いネレイドだった。 そのため容赦なく眼球を掘り進む。はたから見ると顔にネレイドが巣穴でも掘っているかのような光景だった。 そのまま最後まで掘り進んで脳まで達すると皆が思っていた瞬間、騎士の体が再び大きく痙攣してそして二度と動かなくなった。 股間にぶら下ったアルギオペがどんどん内臓を食い破ってしまったからである。 服を剥いでみるとアルギオペの頭1/3が騎士の腹部に侵入して騎士の死後も未だに食い荒らしているかのようだった。 死体はそのままプロンテラの城門に掛けられ、しばらくは肉が残っていたらしいが二日後には盗蟲やらネレイドに食い荒らされて骨だけになっていたという。 その後、BOT使用者が激減したことは言うまでもない。