暗い森 ナニカとナニカが戦っている 片方は黒くて短い剣を持っている 片方は銀色に輝く長い剣を持っている 黒いナニカが銀色のナニカを弾いた ボクにはヨクミエナイ でもナンダロウ 黒いナニカに トテモ惹かれる 銀色のナニカから赤い液体がデテル 銀色のナニカには首がなくなって 赤い液体はそこからデテル トテモ赤い赤い赤い赤い・・・ あぁ・・・紅くて・・・トテモキレイダ 黒いナニカは赤い目でコッチを見て・・・キエタ ボクは・・・・ 「っ!!!」 目が覚めた、ここは自分の部屋・・・か 「・・・いまさらあんな夢を・・・・・」 子供心では理解できなかった 今では理解できる事 あれは殺し合い・・・ 「・・・・ふん」 目覚めたばかりの頭を振り余計な考えを払う 時刻は正午、ずいぶんとゆっくり寝てしまったようだ 着替え、遅めの朝食、物の整理 「そろそろ行くか」 すべてを終えて外に出る 「依頼人はもう来ているのだろうか」 そんなことを呟きながら、街の路地裏へと足を運んだ 待ち合わせ場所にはすでに何人かいて 「ずいぶん遅い到着ね」 「これでも急いだ方さ。」 悪びれることもなく話す 「それで、今日の[仕事]は何だ?」 女は一枚の写真を取り出して渡す 「期限は1週間以内できれば早い方がいいらしいわ」 「・・・・」 無言で写真を見つめる 顔を覚えておくためだ 「・・・で必要なものはある?」 「いらん。」 女はため息をはいて 「あなたっていつもそうね、その短刀だけで[仕事]するんだから」 どんなに困難な[仕事]でも彼はその短刀だけだった それ以外に持つものはない それでも彼は[仕事]を成功させてきた 「・・・何かコレについての情報は?」 女は知ってる限りターゲットの情報を話した 「なるほど・・・。理解した。では今夜早速行くか」 女は驚いてとめようとするが彼はそれより早くその場から消えた ハエの羽でも蝶の羽でもハイドでもない、彼ならではの移動術 夜、彼はターゲットのいる屋敷の前にいた 「・・・高さは4メートルくらいか・・・」 彼は跳び、しかし飛び越えずに塀の上に降りた ここは貴族の住む場所、警備の数とて半端ではない しかし、彼にとってはただ楽しむだけの獲物でしかない つまり、彼に数は通用しない 「今日はバラしがいのある[仕事]だといいんだがな」 呟いて音も立てずに降りた 屋敷の外の警備は10 1人目は首を切り、2人目は心臓を抜き取る 3人目と4人目は腹から二つに分け 5人目は1人目と同じようにする 6人目以降は何人とも見分けのつかないほど解体した 「あぁ・・・やはりこうでなくちゃ・・・」 あたりに広がる人の残骸 首が転がり、上半身だけが木にかかり 内臓が壁と一体化している 血の匂い、赤の海にたたずみ 彼はその匂いに酔ったように空を見上げる 「さぁ・・次は中だ」 彼は堂々と玄関から入る、そのために玄関へと向かう そこには一人だけ警備の人間がいて その人は彼に気づいた誰だと問う前に彼は視界から消えた 気のせいかとその人がため息をはいた瞬間 「何、気のせいではない気づいた頃には死んでいるが、それは幸運と思え」 自分の上から声が聞こえた 声のした方に首を向ける前に、首が胴体から抜き取られた 「しかし下手だね・・・、どうも・・・うまくいかない・・・」 脊髄のついたままの首を左手で持ち呟く 気を取り直して、首をその場に置き、扉を強くたたく 彼はすぐ玄関の横へと身を隠す 扉が開いた、出てきた誰かが首に気づいて大声を上げようとする 声は出なかった、出す前にバラされた 胴体から両手、両足、首のなくなった人間だったものが倒れ血のたまりを作る それをさらに腹部から切り分け 「あぁ・・・、なんと楽しい夜か・・・・。」 小さく、血にぬれた自分の両手を見つめ呟く そして空を眺める、黒い空に白く輝く月が浮かぶ 「満月・・・か。では・・・もっと楽しまないとな」 彼は中へと向かう 堂々と歩いていく すべての人間を殺すため それが彼の存在意義だから・・・