薄暗く陰湿な空気、地面にはあまり目に入れたくないような蟲がいる。とても衛生的とは言えない。 そんな中で場違いに朗らかな声がしていた。 「どう?ルアフも捨てたもんじゃないでしょ」とアコライトのリズが周りが見えるように ルアフを使っていた。ルアフが役に立つのが新鮮で楽しそうである。そして周りがよく見えると言っても 地面は極力無視しているようであった。 相方であり、姉でもあるクルセイダーは言った。 「はいはい。ルアフもいいけどヒールをさぼらないでね」とレリスは収集品のランタンを拾いながら 胸の十字架に手をかけ、このアンデッドも安らかに眠ることが出来る。と短い祈りを捧げ弔った。    ここは何年も昔に封鎖された廃坑であった。しかしここ最近、捨てられた廃坑で あるに拘らず人の出入りがあるらしく、人々から気味悪がられていると報告され その実態を調査するためにプロンテラ大聖堂から先鋒隊として派遣されたのは4人。廃坑が 思ってより広大であるため二人でペアを組み手分けして調査を開始したのであった。  こうして姉妹は順調に調査を進め、廃坑の奥深くまで進んでいた。 レリスは調査報告の内容を考えていた。まず、第一にモンスターの存在を確認。 第二に人が出入りした形跡あり。なるほど、このモンスターを狙って極少数の冒険者が侵入しているのだな。 考えようによっては狩りには最適な場所である。それに彼らだけしかこの廃坑の実態を知らないとすると モンスターを独占状態であり旨みが一層あるという事か・・・。と思案しているとリズが小声で 「ねぇ、見て。明かりが見えるよ」と、指し示す先には、曲がり角から漏れ出す灯りが 不安定に壁で踊っているのが確認できた。二人に緊張が走る。 冒険者であればそれでいい。事情を説明して然るべき処置を取ればいいのだから。 もし、正体がモンスターであれば状況に合わせ対処する。もちろん逃げることも選択肢に入れてある。 私達は、先鋒隊の調査任務であるから生還するのが第一任務と言っていいのだ。  リズは内心、怖くて堪らなかった。元々、暗いダンジョンとかは苦手であった。 昔はゲフェニアダンジョンでよく泣いたものだ。そんなリズも、次第に慣れて来ていた。 だが、この廃坑は別格だった。かつては人が出入りしてたとは言え、長い間放置されていたのだ。 そして今までの情報が役に立たない。それでは心の準備のしようが無いではないか。その上、奇怪な噂が 跡が断たないとくる。拾い坑内で頼りになるのは姉だけ。他のダンジョンなら見知らぬ冒険者とは 言え、近くを通ったり目にすることが出来て安心感が得られた。でも、ここだとそうはいかなかった。 だから、無理に明るく振舞い内心の恐怖を胸に押し込めていたのだ。 ルアフに関して言うなれば、ランタンをちゃんと持参してきてるのだが暗いよりは明るいほうが気が紛れる という理由でしかないのだ。その内心を察してか姉は「私もサイトが使えればね」と、本当に申し訳無さそうに 言うのであった。  「リズ、あなたはここで待ってなさい。ちょっと近づいてみるから」 気がつくと涙目になっていた。そして頷く。姉は「よしよし」と頭を撫でて佇まいを直した。 ブレッシング 速度増加を静かにかけて支援した。最後に 「お姉ちゃん、気をつけてね」レリスは優しく微笑み返す。 この一言がが姉にとって最高の支援であるの言うまでは無い。  音を立てないように静かに忍び寄る、甲冑であるから細心の注意で歩く。この形(なり)では大変な 重労働であった。盗み見が出来る位置に立つころには、汗でびっしょりだった。 手元の持参してきたランタンをその音源である暗がりにそっとかざし覗き込んだ。 どうやら二組の人が横たわってるようだ。そして、 足が見えた。腰が見えた。胸が見えた。胸に欠けている十字架らしいものが見えた。 そこで一旦、顔を引っ込めた。 ・・・・・横になっていた。最悪の場合を考えていいかも知れない。 姿からして私と同じクルセイダーか。鎧からしてどうやら男である。再度、盗み見をする。  次は顔まで確認をする。 足・・・・腰・・・・胸。次は・・・・顔。 ニヤッ 寝耳に水をかけられたかの速さで顔の位置を戻した。笑った。何故か分からないが 確かに笑った。不意の出来事に驚いたが良かった。どうやら生きてる。と心から安堵してこちらから声をかけた。 「あまり驚かさないでください。盗み見した非礼は詫びます」 リズは聞こえてきた声の内容にひとまず、ホッとして安堵の息を漏らし姉の側に急ぎ足で寄った。 「今、そちらに出て行きます。構わないですか?」とレリス。その間にリズはルアフを唱え不釣合いなほど 坑内を照らし出した。答えを待つレリス。しかし、なかなか答えが返ってこない。さすがに不信に 思い始め、腰の剣に手をかけ「すみませんが、確認させてもらいます」 二人は互いに顔を見合わせ、頷き覚悟を決めた。  今度は盗み見をするわけでなく、堂々と姿を表しその問題の相手を見る。 ルアフで照らし出され、顔が明確に見えた。また笑って・・・・ 違う!!笑っているんじゃない!!顔に無数の蛭が張り付き、蠢くため笑ってるように見えたのだ。  不意に奥から声がした。 「ふふ、私の研究所に勝手に入り込まないで欲しいなぁ」と調子はおどけているのだが 抑揚が欠けた声で続ける 「でも、こうして素材が手に入って私は助かるんですけどねぇ」 喉を鳴らして笑ってるのが聞こえる。 声はだんだん大きくなり近づいてきてるのが分かった。 そして、ついに声の主の姿が見えた。年の頃は40代。外観はみすぼらしいプリースト。埃と塵にまみれ 汚れてない場所など無いと思えるほどだ。 「私達は、プロンテラ大聖堂から遣わされた者です」と緊張の声。レリスは剣に手をかけたままだ。 そのプリーストは大仰に礼をしてみせ、紹介を始めた。 「私の名はラザニル=カーヴィン、プリーストの身でありますが今は一介の研究者とでも言っておきましょうか」 と、頭(こうべ)を垂れたまま言った。 伸びに伸びた髪が柳のように揺れている。 「私達は調査のためここに来ています。あなたがこの廃坑の怪奇現象の原因の中枢ですね?」 あくまで柔らかく尋ねるが眼光は相手の動きを一糸も見逃さぬよう鋭い。 「ほぉ、調査ですか。この素材もそんなこと言ってましたよ」ラザニルの唇が綻ぶ。 ラザニルは顔を上げ、顔面にかかる髪に委細かまわず続ける。 「私はねぇ。ここで研究しているのですよぉ。私の忠実な人形をねぇ。人形とは無粋でした。今は 息子と称えて可愛がっているのですよ」 ラザニルは満面の笑みを湛え続ける。 「仕事です!!来なさい私の可愛い息子達よ」これまでの抑揚の無い声と打って変わって 初めて生彩のある声だ。 「なんです!!その研究、人形とは!?」すでに空気を察して臨戦体制を取り、戦士の顔になっているレリス。 ここで強張った顔のリズが口を開いた。 「お姉ちゃん、無理はダメ。逃げようよ・・・」 この問いにこれ以上リズには精神的負担は酷だと判断して「撤退しよう」と言いかけた時 背後から、鼻につく悪臭がした。振り向き姿を見て唖然とした。    その男騎士は汚れは酷く損傷箇所もだいぶ見られる鎧。錆と刃こぼれが目立つ剣。 そしてその剣を握る右手の指は4本。憎悪の炎を宿したような血走った双眸。 そして左手首から先は煤けて無くなっている。ただの火傷ではなかった。肌はグチョグチョ溶け肉は丸出し。 よく見れば毒々しいほどに壊疽を起こしている。まるでその部分だけアンデッドのようであった。 全身にも生傷が耐えておらず、異形に盛り上がった箇所など見られた。そして、とても生きた人間が放つ 体臭とは思えない。生きたまま腐敗していく匂い。その姿をラザニルは満足そうに眺め言う。 「ふふ、どうです。私の可愛い息子は?実に勇ましい姿ではありませんか」まるで、自慢の子供を褒める 親のようである。 「酷すぎる・・・」悲壮な顔のリズの一言。狂ってる、このプリーストは狂ってる。 彼はすでに人の世界に生きる者ではない。 「息子よ。新たな仲間が欲しいでしょう。そのクルセイダーを仲間に加えてあげなさい」 この命令に騎士は従いレリス達に悠然と歩み寄る。最初の行動は以外にもリズであった。 リズは反射的にアンデッドと思いヒールで浄化を試みたのであった。 「ヒール!!」しかし、その予想に反して思ってた効果は無かった。 「ふふ、どうしたんです?敵にヒールなんかして。ヒヒッ、ヒヒヒヒヒヒ」ラザニルはリズに逃げられぬように 短い集中の後、魔法を放った。 「レックスデビーナ!!」 「あっ・・・」思いもよらない反撃の呪術にかかってしまった。 「リズ!あなたは下がってなさい」その一言の間に剣を抜き構えた。  彼女は優しい姉の一面の他に、一流の戦士としての一面もある。その戦士として本能が訴える。 この男は強い。実際に手合わせしなくとも、この男から発せられる雰囲気で分かるのだ。 ブレス 速度増加の効果はまだ続いている。相手は得体の知れない騎士とプリースト。 少しでも優位に戦えるこの時間に勝負を決めたい。剣先に捕らえる異形の騎士は、すでに突撃する 体勢を作っており、今にでも矢の様に飛び出しそうであった。 ならば、こちらは防御姿勢を取り必殺の一撃を浴びせたいところだが、事情が違う。 ここは短期決戦でこちらも突撃するため腰を落とし正面から討ってでる体勢を作った。 そして、先手必勝と言わんばかりに男に向かって駆け出した。 「ハッァァァァァァァ!!」重い具足に身を包んでるとは思えないほどの速さを気合の一声で出す。 男も呼応するかのように飛び出す。こちらは対峙するレリスと違って静かだった。その静かさは 冷静さ等の感情ではない。例えて言うなら幽鬼が棲む夜の墓場の静かさであった。 相反する二人、生と死の感情が激しくぶつかり合う。互いに全力疾走を持ってのぶつかり合いだ、 激しい衝撃が脳を揺らし意識が飛びそうになるほどだったが、レリスは脳震盪は免れた。だが周りの風景が つい先ほどより、ずっと低い位置であった。このぶつかり合い、いくらレリスが鎧兜で重さを増しても 男の方がずっと大柄で、手入れこそはされていないが重量はかなりある鎧を着込んでいたから、その結果 その場に押し留まる事が出来ず、男に平伏す状態になっていた。 この状況に彼は、レリスには予想を遥かに超えた速さで次の行動に移っていた。 彼は間髪入れず手に握る剣で膝の裏、つまり両足の腱を断ったのだ。 「ぐっ――――っがぁぁっ!!」戦士の前に女を捨てた悲鳴が上がった。 これはラザニルの命令である。こうした素材はなるべく治癒可能な程度で行動不能にするのだと。  この勝負の行方を傍観していたラザニルは予想通りの結果に喜色の声で 「お見事!!さすが我が息子です」 ラザニルは騎士に言下に言い放った。「アコライトはあなたの好きなようにしなさい」と意味ありげな視線だけをリズに向けた。  すでに死霊と化しつつ彼に残されていたほんの僅かな本能。それは人にある三大欲求だった。食欲、睡眠欲そして性欲。 今、最も満ち足りてないのは圧倒的に性欲であった。目標物を目に据えた。彼の目に捉えられた リズの顔は恐怖に彩られ、歯の根が合わないかのように歯茎どころか全身でガクガク震え、腰が抜け 不潔な地面に尻餅を着く形でいた。  彼は品定めをするかのようにゆっくり一歩ずつリズに近づいていく。立たない腰なので手を地面に着き 必死に後ずさるが、壁にぶつかりそこまでだった。 恐怖で上手く出ない喉から、か細い声が漏れるように出た。 「来ないでっ!いやぁ・・・いやぁ・・・」そんな訴えに全く聞く耳を持たない騎士。 また一歩、また一歩と少女にとって最も忌むべき存在となった男は近づいてくる。  そんな彼はすでに主張を始めかけている腰の肉剣を諌めるべき鞘はどこかと考えていた。 始めに思いついたのは、蒼白となった顔にある口だった。しかし何故か気が進まない。 視線を顔から胸に移し、そして下半身に移した。そうだ確か下半身に収める場所があるのだ。と辛くも思い出し 同時に子宮というものも記憶の淵から引きずり出した。 それでも肝心な部分が、つまり子宮に通じる穴がどうしても思い出されなかった。  そうか。挿入すべき穴は自分で作るものだったのだ。会心のひらめき、彼にとってこれは真理に近いものであった。 我ながら、このひらめきに顔が緩んだ。  身を縮め必死に恐怖と戦っていたリズ。今まで生きてきた中で最も長い時間が 流れたように思えた。気がつくと近づいてくる男の足が聞こえなかった。 恐る恐るリズは顔を上げ騎士の顔を凝視した。そこで彼は突然の不可解な笑みを漏らし、ついに恐怖の最高点に 達しリズは失禁をしてしまった。  騎士はリズの失禁には気にも止めなかった。かわりに手の剣を逆手に取った。 すなわち下方に突き刺しやすいように刃先を向けたのだ。    レリスは痛みと焦燥のなか、ただ地面でうずくまる自分にまだ出来る事。 それはディボーションによる痛みを代わりに受けるものだった。 これからリズの身に起こることは自分の範疇を超えている しかし彼女には一片の曇りも無い決意をして、実行する 「ディボーション!!」まさにレリスとリズの姉妹の絆を表したのかのように清流のような綺麗に輝く 青い筋が二人を結ぶ。  騎士はリズの下腹部に狙いを定め剣をゆっくり突き刺す。 レリスはリズの叫びを代弁する 「・・・っっ!!」声にならない悲鳴だった。 痛みに対する覚悟はしていた。だが硬く閉じた目尻からは止めようの無い涙が溢れ出る流す。 彼は慎重に子宮までこの錆びた剣で穿つつもりだ。 いくらか抵抗する手応えがあったが、その儚い抵抗は無造作に力を加え突破する。 「ぎっ・・・が、あ――――あぎぃっ・・・・!」 獣じみた悲鳴を出すしかないレリス。 血は止め処なく吹き出し、アコライトの乳白色のスカート部を赤く染め上げた。 彼にはさながらストロベリーソースをかけたアイスクリームに見えた。 そして、彼はアイスクリームは甘く美味しかった記憶が虚ろに思い出され おもむろに剣を抜いた、刃こぼれに贓物が引っ掛かり傷付けリセルが白目を剥き出しにして 口は空気を必死に求める魚のようにパクパクさせていた。  彼は溢れ出す血に口をつけ、一口啜る。すでに味を感じる事も不確かになっており 彼の味蕾は血を甘くこの上なく美味いと感じた。 混濁する意識の中リズは自分の腹の上で何が起きてるのか目を背けたくなるのを我慢して見つめる。 「何・・・何をしてるの!!ねぇ、やめて、やめてよ!!」あるべき痛みが無ければ平然と話している自分が恐ろしいと思った。 しかしそれよりも目の前の男の方が圧倒的に恐怖であった。 次に彼が取った行動は、下肢に着けている物を外しすでに自己主張をしているペニスを外気にさらけ出した。 「・・・・・ひぃっ!」リズは喉から空気を搾り出すような声が出た。 リズにも知識としてあったが、今のリズにとっては恐怖の象徴にしか映らない。  彼はリズに馬乗りになって、まるで赤く見事に熟した爆ぜた柘榴(ザクロ)に狙いを 定め猛々しい性器を突き入れようとする。 息を呑むリズ、こんな状況でも助けを求めようと叫ぶ。 「ひぐっ・・・いやっやめてやめてやめてぇぇぇっっ!!」 必死の懇願もむなしく坑内に広がるだけであった。  リズの肉を掻き分け、本来の構造とは全く在らぬ方向から体内に潜り込んでいく。 肉の束を押し分け奥に進めば進むほど、こんこんと湧き出る清水のように血が面白いように湧き出た。 そのためスカート部は血で染まってない場所は無いと言って良い程で、大量に血を含み少しでも押すと ジワッと血が生地から滲み出るほどだ。    彼は締め付けが足りないと思い、リズの両脇腹を無造作に掴み押し寄せ冷酷に腰を進めていく。 左手は無いため、力の限り手首を押し付けた。  リズは狂ったようにかぶりを振る。しかし体は痛みを訴えない、だが明らかに異常なことが 目の前に起きていることに、まるで本来の痛みを感じてるかのように金切り声を上げる。 「イヤァァァァッ!やだやだやだやだぁ―――――――!!」 常軌をあまりにも逸しすぎてるのだ。 リズは本能的に激しく身をよじり振りほどこうとする。 だが、その動きに進入物はあらぬ方向に右往左往と内部を掻き回し その結果、より一層の痛みをレリスに伝える。 「ぎっ・・・が、あ――――あぎぃっ・・・・!」 悲鳴さえ上げれない激痛の中にいる。えずきが込み上げ同時に胃の内容物を吐き出している。    甘美なる二つの悲鳴の唱和をBGMに彼は自らがこじ開けた進入口に指を潜りこませ最初に触れた内容物に 力に物を言わせ引き千切り口に運んだ。  贓物は舌の上で踊らせ転がし甘噛みしとろける様な質感を楽しんだ。 進入口の周りを抑えると、水を十分に含んだスポンジのごとく血が絞り出た。 それを口の周りを盛大に汚しながら嚥下に流し込んだ 彼のこの行為は愛しき女性の性器に顔を近づけ愛液を舐めるのと同義であったのかもしれない。 今の彼に常識は存在しない。    あの子だけは、リズだけは守り通す。この思いだけが今の彼女の精神を肉体に繋ぎ止めてる。 だが、それにも限界が迫りつつあった。  騎士は満足する快楽が得られず苛立ち、今度は腰を大きく上下させながら剣を胸元に何度も何度も 腰の動きに合わせて振り下ろす。 「あ、あ、あ――――・・・うぐうっ・・・お・・がい・・・たすけ・・・うぁぁぁぁっ!」 生きたまま喰われる感覚のなか、かろうじて言葉を話すリズ。 「ぎ・・・あっ、ぐ――――ああぁぁ」 濁った不明瞭な声が途切れ途切れレリスの喉から漏れる。 ここでラザニルが初めて、惨劇に参入するのであった。 「まだ意識を保てるんですか。あなたの頑張りに私からせめてもの労いです」と、手を頭上に掲げ続ける。 「さぁ、一思いに楽になりなさい。レックスエーテルナ!!」素材が本格的に壊れてしまっては意味がないのだ。 神がかり的な力が働き、なす術もなくレックスエーテルナの影響下にさらされる。 そしてついにレリスの体力は限界を超えても、なお保ち続けた精神力も尽き果てた。    ふっ、と二人を繋ぐディボーションの青い光は消えた。すなわち、リズに それこそ筆舌にしがたい痛みが全身を駆け巡ったのであった。 「ぎ―――・・・・・・ぎゃあああああぁぁぁぁっっっっっ!!」 初めて痛覚で肉体の異常を感じた。このとき激痛と言うのでは生易しい痛みに肉体が緊張した。 この強烈な緊張によって体内は本来、男を受け止めるための膣のように締め付け、騎士は達したのであった。 張り詰めた体の緊張は解け、だらりと弛緩した腕が崩れ落ちた。  リズは薄れゆく意識の中、最愛の姉を見つけ「ごめんなさい」と、慙愧に耐えぬ思いのなか 長い地獄から解放された。  もう一人、ここに常識が存在しない人物がいる。眼福と言わんばかりに目を爛々と輝かせ、新たな人形の 素材、それも最高の素材を手に入れ上機嫌なラザニルだ。 「ふふ、騎士に劣ったとはいえ申し分ない強さ、何より肉体を凌駕する痛みに耐える精神力 私の素材として相応しい」ここで横たわる血まみれの骸となったリズと魂はここにあらずといったレリス。 そしていつの間にか寝入ってる異形の騎士。無数の蛭に尚喰われいるクルセイダーの男達。 5人を感慨深く見渡した。彼は言った。 「数々の犠牲の上に完成させるのです。禁断の秘術BOTを!!」                                          〜完〜