今日もまた一人のノービスがアコライトになるべく迷いの森へと入っていった。 迷いの森、アコライトになるためには必ず通過しなければ行けない場所であり、慣れない者だと通過にかなり手間取ってしまう場所である。 またここには凶暴な植物マンドラゴラや、ルナティックの強力な変異体エクリプスが居住している危険な場所でもある。 こういった場所を通らせてアコライトになる意思を確認するのは教会としては必要不可欠のことではある。 聖職者の第一歩としてアコライトに転職したはいいが道を踏み外す者もまた大勢いるからである。 中途半端な意思でアコライトになるにはあまりに通過しがたい試練であるため、本気でアコライトになろうとしない者ならば投げ出してしまう。 だがその中途半端さが命拾いになる場合も多々ある。 聖職者とはかくも厳しいものなのである。 (うわぁ・・・。ここなんだか不気味・・・。) 鬱蒼と茂る木々に囲まれた件のノービス、流石に初心者でありこういった場所に入るのは初めてであろう。 冒険者として経験を積まないとこういった不気味なところへは近づきもしないだろう。 冒険者冒険者し過ぎてどんな不気味な場所でも平気で侵入したり、あまつさえ商売をする輩もまた問題ではあると思うが。 (えと・・・。確かここを通過してカピトリーナ修道院の前の神父様に会えばよかったのよね・・・。) 通過するにしても道も分からない。 一応冒険者の端くれである彼女も初心者修練所支給の世界地図を持ってはいるが、その地図でここをストレートで踏破するルートを見つけられるほど この森は甘くはない。 「きゃっ!」 マンドラゴラが視界に入り、その途端に鋭い触手の一撃が彼女を襲う。 辛うじてそれを避けるとまた別のマンドラゴラが目に入って慌ててその場を駆け出していく。 そういうことを繰り返していくうちに懐の深い森の奥深くへと入り込んでしまった。 (・・・。ここどの辺りなんだろう・・・?) マンドラゴラを避けて通る余り彼女は自分が今どの辺りにいるかも分からなくなっている。 (あちゃー・・・。もしかして迷ったかなぁ・・・?) 右を見ても左を見ても先には奥深い森があるだけだった。 (とりあえず現在位置はどの辺りなんだろう・・・?) 地図と空をにらめっこしてみて今大体どの辺りにいるかは分かった。 (えーと・・・。ちょっと遠回りになるわねぇ・・・。) ただその場所から次の猿山へ向かうには場所が離れすぎているようだった。 (仕方ないか。まぁ何とか行ってみよう。) 延々と遠回りをした挙句ようやく一本道になる場所を見つけ、迷いの森の出口へと向かう彼女。 この陰鬱な森を抜けると思えると少しは気が晴れるようだった。 そして出口へと向かう刹那。 ヒュッ! 「!?」 彼女の死角にいたマンドラゴラが彼女を捕らえようと触手をその細い足首へと巻きつけた。 「きゃー!」 慌ててナイフでその触手を断とうとするが手が滑ってなかなか切れない。 そうしているうちに今度は両手を触手に掴まれ、ナイフが地面へと落ちた。 「助けてぇ!!」 彼女は必死で叫んだのだがあいにくこの森に居るのは彼女の望みをかなえる者達ではなかった。 そうするうちにもマンドラゴラの触手は彼女の足や首にからみついていく。 (ひぃ!) 一本が彼女の口へと入り、噛み切るにも余りに太くて口を塞がれてしまった。 もう偶然誰かが通りかかりでもしない限り助けは来ないだろう。 「ムグググゥ!」 そしてその触手はそのまま彼女の喉を通って食道にまで進入してきた。 「ウググゲググ」 涙目になりながら必死で彼女はもがくが触手の力の方が強くそれを解くことはかなわなかった。 そしてまた太い触手の一本が彼女の股間を突き破った。 (い、痛ぃぃぃぃぃ!) 哀れ彼女の初めての相手はこの凶暴な植物になってしまった。 だがそんなことを考える余裕もなく彼女は新たに襲ってきた痛みと薄気味悪い快感とを感じていた。 (いやぁ・・・・。何これ・・・。) 気持ち悪がっている間にも触手はどんどんと膣の奥へと敏感な箇所を刺激しながら侵入していく。 (あぁ・・・。いやぁぁぁぁ・・・。) 膣から漏れる液体にいつのまにか数匹の盗蟲がむらがり、それを味わっていた。 下の触手に気を取られているうちに口から入った触手は彼女の胃へと達し、胃酸に身を溶かされながらも胃壁を強烈に刺激していた。 「ウゲゲゲェゲゲ」 その刺激に強烈に吐き気を催されてしまう。 そして胃壁の強度が触手の圧力に屈して、ついに破れてしまった。 破れた箇所からどんどんと胃液が漏れ出していく。 そしてそれは周りに内臓を恐るべき速度で消化していく。 (熱い!熱い痛い痛い熱い痛い熱い痛い!) 内臓を直接溶かされる痛みに彼女は悶える。 冒険者の端くれとしてポリンに殴られたり、ルナティックに噛み付かれたりしたがこの痛みはその比ではなかった。 体の中に油をそそぎそれをいきなり着火されたような痛みであり、その痛みは想像を絶するものがあった。 (痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い痛い痛い熱い!) 意識が遠のきそうになるが辛うじて彼女はそれに耐えていた。 ただそれが最善の策であるかは分からない。むしろ下策と言えるかもしれないが。 意識を保っていたのは下の触手が定期的に送ってくる鋭い快感のためかもしれなかった。 胃壁を破られて身を焼く痛みに苛まれながらもその快感のために彼女の顔は上気し火照っている。 (あぁぁぁぁぁぁ・・・。) だがその快感も急激に走った腹の痛みに途絶えさせられた。 彼女が意識しない間に菊門から侵入した触手が腸壁を破り、腹の中を不気味に蠢いている。 (痛いよう・・・。誰か助けて・・・。) もちろん誰も運良く通りがかったりはしない。 十分位して彼女は全く動かなくなった。 それを確認するとマンドラゴラは彼女を、人間ならば頭に位置するであろう蓋を開けて中へと放り込んだ。 「ふうむ・・・。また来なかったか・・・。最近の若いのは根性がなくて困るな・・・。」 カピトリーノ修道院前で疲れた顔をした神父が呟いた。