[!]このSSには、暴力表現、残酷表現が含まれています。  〜サバイバル〜  冒険者、などと言えば少しはまともに聞こえる。実際は、賊のようなものだ。  適当にフィールドを散策し、気が向けばモンスターを狩る。強いモンスターの討伐なんて行くものか。  金が無くなれば、旅人を襲えば良い。憲兵が来たら逃げれば良い。  生来のこの性格がいけなかった。努力して強くなるなんて馬鹿馬鹿しい。そういう風に生きていたら、何時の間にかアサシン にも、ローグにもなれなくなっていた。まぁ、なったとしても変わらないとは思うが。  ヨーヨーを狩るのも飽きてきた。丁度、懐が寒くなってきたところだ。俺は、少し移動して人が通る道を探す。  適当な場所に隠れる。この草叢ならハイディングも要らない。しゃがんで待つ。  来た。二人組みか。一人は女剣士、もう一人は、なんだムナックか。楽しそうに会話をしながら道を歩いている。  俺は石を拾い、女の後ろに投げた。  「?」  女は後ろを振り向く。その瞬間を狙って、俺は剣士の懐に飛び込んだ。  腰に入れている毒薬を取る。女が気付いたようだが、もう遅い。インベナムを女の腹にぶち込んだ。  「がはっ」  女は倒れる。ムナックが不思議そうに首を傾げて立ち竦んだ。  俺は、改めて女を見た。中々の上玉だ。体つきも良いし、顔も良い。装備も相当高価な物だ。全部売れば、4百万は下らんだ ろう。ムナックもそこそこの値が付く。これは運が良い。  女が逃げないように足と手を縛る。ムナックが騒ぐので、首に縄を掛けて木に引っ掛けておく。  インベナムの毒を取り除き、装備を剥がす。鎧を見ると、あまり使った跡が無い。どうやら新品らしい。高く売れる。  財布の中には小銭が多かった。多分、装備を買った直後だったんだろう。無いよりは良い。全部頂く。  服を脱がす。綺麗に洗濯された内着から、褐色の肌が覗いた。傷も無く、滑らかな肌だった。  スティレットを取り、女の太腿に突き刺す。  「!きゃああああっ!!!!?:」  女が目を覚ましたようだ。五月蠅い。俺は、咄嗟に女の喉を殴り潰した。ゴキン、と骨が折れる音がして、女は死んだ。  太腿に刺さっているスティレットを抜く。どくどくと、血が流れ出した。もう一方の太腿にも突き立てる。血を抜くのだ。  褐色だった肌は、やがて赤味を失う。これで良い。  俺は、解体を始めた。まずは手足だ。付根から丁寧に切り落とす。引き締まった筋肉は、鋭い刃によって、いとも簡単に切れ た。脂肪は少なく、白い腱が目立った。適当な大きさに刻む。  次は首だ。予め血を抜いているので、頚動脈を切っても血は殆ど流れない。さっき折った部分から首を落とす。これだけ綺麗 な顔だ。さぞ美味いだろう。  背後のムナックが騒々しい。物欲しそうにこっちを見ている。ああ、お前も喰いたかったのか。足の肉を少し切り取り、投げ てやった。ムナックは、それを取り、両手で持ちながら頬張る。口の周りを赤く染め、クチャクチャと咀嚼した。嬉しそうだっ た。  俺は解体を続けた。  腹を裂き、内臓を取り出す。腸は洗って腸詰にしてやろう。肝臓や心臓はスープにすると美味い。手足の肉は、燻製にする。 胸肉あたりは香辛料を塗して保存する。首が一番のご馳走だ。目玉や脳味噌は煮込むと蕩けそうに美味いし、頬肉や舌や耳は柔 らかく焼いてやると最高だ。その前に髪の毛を抜いておこう。これも売れる。  しかし、これだけのものだと俺一人では喰いきれないな。そうだ。ムナックにも分けてやろう。  俺とムナックは、仲良く女を喰った。  ムナックは、元主人だった女の目玉に噛り付きながら、にっこりと微笑んだ。