プロンテラの大通り、男が二人対峙している。 一方は剣を地面に突き立て、呼吸を整えているクルセイダー。 方やウィザードは傷一つ無い姿で座り込んでいる。 「畜生、ナンだぁ?あの余裕綽々な態度は・・・ハラが立つぜ・・」 一度深呼吸し、立ち上がるクルセイダー。 「キッツイのをお見舞いしてやるぜ・・ォォオオオオオオゥッ!!!!」 怒号と共にウィザード目掛けて突進する。 ウィザードはゆっくりと立ち上がり、詠唱を始める。そして間も無く術が放たれた。 「ファイアーウォール!!」 「ムゥッ!?」 クルセイダーは炎の壁に阻まれ、一度身を引き返す。 「横から行きゃアいいんだよ!」 クルセイダーは火柱をつたって歩き、途切れている部分を探した。 「・・・がら空きだぜ!」 再度剣を構え走り出す。 「(・・・ナンだ?この臭いは?)」 まともな近接攻撃の回避手段や防御手段を知らないウィザード、一度の剣戟ですら命を落とすこともある。 が、ウィザードはうろたえる素振りを見せず。次の術を放った。 「ユピテル・サンダー!!!」 火柱を迂回している間に詠唱を済ませておいたのだろう、隙間を抜けてすぐに術は放たれていた。 「ッ!!まっ・・・(畜生!やっぱりコレだったのかッ!)」 クルセイダーはこの術の恐ろしさを理解していた、彼にはこれからの出来事がスローモーションのように見えた。 ウィザードの方から強力な電場がこちらへ向かってくる、電場は空気中のホコリや塵に放電し、青白く輝いている。 先ほどクルセイダーが感じ取った臭いは、酸素が放電の影響を受け構成が変わった・・・オゾンの臭いであった。 間も無く青白い光球、行き場の無いエネルギーを秘めた電場の塊はクルセイダーを包む。 「!!!!ッオオオオ!!」 彼の装備している金属製の武具は全て導電体と化し、電流の短絡により、電球のフィラメントのように赤熱し、やがて蒸発する。 更に電流が流れることにより生じたローレンツ力により、彼の体は遠くへ押し飛ばされた。 電流の流れやすい金属の部分が蒸気と化し、電場が次に電力を消費する場所は・・・人体だった。 「ッぐぐ・・・」 体中の血管という血管が導線と化し、電流が短絡する。ボンッ!と言う音を立てて血管が次々に破裂する。 「ッぐわぁぁぁぁぁッ!!!」 しかし、脅威はこれだけでは終わらなかった、ウィザードは押し飛ばされる位置を計算し、火柱をそこに立てていた。 「!!!!!!!」 彼は、直接炎を吸い込んでしまい、声帯が焼け、声を出せなくなってしまった。 電場はまだそこに存在した。火柱に焼かれ炭化した彼の指、腕、足、・・・体全体が導電体となった。  バァンッ!!! と、コンセントに差し込まれたシャープペンシルの芯のように、男の体が四散した。 「PvPフィールドをご利用いただき、ありがとうございます。またお越しください」 「派手にやられたみたいですね」 カプラ職員は苦笑いを浮かべながら言った。 「僕の相方がいつも世話になるねぇ〜」と、ウィザードが言った刹那 「テメェのせいだろうがッ!」 逆毛のクルセイダーがウィザードをド突く。 「だってキミに身代わりになってもらわないと、痛いからさァ・・・」 「ふん、まぁ、テメェ一人じゃ確かに見てられネェしな。」 「うんうん、いつも悪いネェ〜」 「で、俺の装備とこの頭、どうしてくれる?あぁン?」「テメェ装備溶かしちまったし、sakageになっちまったじゃねぇか!」 「う・・・ごめんよ・・・」 「まぁ、装備ぐれぇ、許してやろうか、予備の装備だったしな!」 「うんー、でもごめんね〜・・・」 「気にするな相棒!・・・・・・sakageは許さネェけどな・・・・」 「・・・・・・・・・・え?」 「PvPフィールド来いこの野朗!テメェもsakageにしてやる!」 RO引退してから、友人が献身クルセで俺WIZでよくドコか逝ってたなぁ、と思い出して書いてみた。