/ジュライの月 1日 山に行きたかったので、ジュノー方面に行く。 そこで、デーモンパンクが寝ているゴートの口に、その身となる粉の様なものを吹き出しているのを見た。 その後、デーモンパンクが俺に近寄って来たので、殺した終える。その時ゴートが大きな声を上げた。 ゴートの仲間が集まる可能性があるので木に隠れてから見ていたが、そのゴート震えている。 しかし、普段はやたら暴れる割に、特に身体が動いている様には見えない。どうなっているのだろう。 仲間が寄って来なかったので、木から出てそのゴートに近付いた時に、理解した。 手足の先端が崩れている。少しずつ、崩れている。 デーモンパンクによるものだろうか。それとも、ゴート特有の症状か? まだ幾つもの可能性が考えられる。 いずれにせよ、調べてみたい。明日、再度あの場所に行こう。 そう決め、木の枝を切り落とし、それに布切れを縛りゴートのすぐ傍に挿した。 /2日 昨日の場所に向かう。旗が見えた。 マスクを付け、それに近寄る。昨日ゴートが震えていた所に注目する。 何かが、蠢いている。蛆だろうか? 否、それはとても小さなデーモンパンクと言える。 これで確信した。 ゴートはデーモンパンクに殺された。デーモンパンクの繁殖媒体に選ばれたとも言えるだろう。 もしそれに人間が選ばれたならどうなるのだろう。 最早、義務だ。 暗殺者として、人間の場合を調べなければならない。 他人を利用しなければならない。 /3日 被験者は簡単に入手出来た。 ジュノー山岳地帯には、ジオグラファがいる為だ。 あれを狙うアーチャやマジシャンで良い。 女のアーチャに近寄る。ジオグラファに意識を集中させているのだろう。 真剣そうにジオグラファを射抜いていた。 そんな状態だったので、気配を殺せば気付かれない。 延髄に手刀を入れる。少女はバネが切れた様にその場に倒れた。 少女はそのままにし、デーモンパンクを探す。 それを手袋をした手で掴み、準備した袋に入れる。安全の為、その袋を別の袋に入れた。 そして少女を担ぎ、蝶の羽でモロクへを戻った。 少女には睡眠薬で眠っていて貰おう。 実験は明日始める。 ----------------------------------------------------- ここは何処だろうか、と少女は思う。 暗い中、目覚めた。 (私は、ジュノー山岳で狩りをしていた筈・・・) ベットの上にいる事は解ったが、手足が動かない。 手足は縛られているらしい。服は着ている。 (誰に?何故?) 彼女は次第に怖くなる。縛られてからされる事が予想出来たのだ。 扉が開く音がし、部屋が明るくなる。灯りが点いた。男がいた、その男が点けたのだろう。 「ここは何処なの?」 「ここはモロクにある家の地下室です」 (モロク?何故モロクに私いるの?) 「貴方は誰?」 「俺は貴女をこの場に連れて来て、そのベッドに縛り付けた者です」 徐々に恐怖心が大きくなる。 「何故連れて来て、縛ったの?」 声は震えていたかも知れない。 「貴女が必要だったからです」 「私を・・・」 その声は確実に震えていた。 「犯すのね・・・」 「それも良いかも知れませんね」 「え?」 思わず声に出た。男の発言は別の目的がある事を示唆するものだったからだ。 「な、何で私にこんな事をしたの!?」 男は答えず、突然彼女の秘部に2本の指を差し込む。 「んっ・・・!」 その2本の指を暴れさせる。 少女は声を上げず、耐えた。 「や・・・やめて・・・」 少女は涙を流しながら言った。 「改めて縛り直し外に連れて行って、放置しておくのも面白いかも知れませんね・・・。 一晩経てば貴女は母親になれますよ」 「い、いやぁ・・・」 「肉欲に狂った貴女を晒し者にするのも試してみたい」 「そんなの・・・いやぁ!!」 「叫んだ所で、貴女は何も出来ないでしょう。それに、俺の目的は別にあります。安心して下さい」 「何をするのよ・・・」 男は腰に下げていた短剣を取り少女の左足首を切った。血が溢れる。 少女が男に訊いてから0.5秒後に少女は左足首を失った。少女は失禁している。 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 痛みもあったが、自分が正常の身体でなくなった事が少女を絶望させる。 男は何も言わず、部屋を出た。 (何でこんな事をするのよ!?) 少女が泣き続ける中、男は戻って来た。袋を持っている。 「あ、あなたはぁ!」 「落ち着いて下さい」 言いたい事が言葉にならず、少女は涙を流し続けた。 男は切り落とした少女の足の断面に、袋から出る粉をかけた。 「何をしているのよ・・・」 「これは粉は、デーモンパンクです。人体にどの様な影響を与えるのか試しています」 その言葉で少女は全てを理解した。自分がジュノー山岳で意識を失った事も、 何故自分がこんな目にあっているのかも。 「あなたは!!あそこで私を見かけて実験台にとしてここに連れて来たね!!」 「えぇ。すみません。」 少女は嗚咽した。 「ふ・・・ふざけないで!!勝手過ぎるわよ!!」 そこで男は少女の足を彼女に見せつけた。 指が崩れ、全体に黒っぽい斑点が無数にある。 「な・・・なにこれぇ・・・」 「元々、デーモンパンクを食わせて反応を見ようと思いましたが、 傷口からでも反応が出るのか確かめたくて足首を切断しました」 (ゴートは全身が毛に覆われているから斑点には気付かなかったな・・・) 男はそう1人納得していた。 「ちなみにこの反応は恐らくデーモンパンクの繁殖に依るものです。 一晩経てばこの足は完全に侵されて、崩れデーモンパンクが発生する、かな」 「そんな・・・そんな・・・」 男は突然少女の服を切り裂いた。 彼女は恥じなかった。恐怖していたからだ。 「さて、そろそろ貴女にはデーモンパンクを食って貰います。 一応斑点を調べるので、服は裂きました」 少女は首を横に振ったが、少女の口をこじ開け無理矢理袋の中身を入れた。 「!!」 吐き出さない様に、手で口に蓋をする。 1分間で手を離し、少女から離れる。 既に少女の四肢には斑点が見えた。 「明日、様子を見に来ますね」 扉を閉め、男は去った。 手が崩れた。 足が崩れた。 声が出せない。 徐々に手足が短くなる。 思考が出来なくなる---- /5日 昨夜日記を書き忘れた。些細な事だが。 今日は起床後地下室に行ったが、予想通りアーチャは全身が黒くなっていた。 否、黒い粉になっていた。あれの集合体がデーモンパンなのだ。 掃除が面倒臭い。それにリスキィだ。住む事自体。いっそこの家を捨ててしまおうか。それも悪くない。 結局男はその家を去らなかった。面倒だからだ。 死ぬのも、生きるのも、 面倒だった。